昨日という名の過去

仕事でも旅行でも遊びでもなく遠くの土地に赴くというのは
味の無くなったガムをもう一度かみ始めるような事に似ている気がする。

朝から降り続けていた雨はボクの住む街でも
長野でも変わらずに降り続けていて
ちゃんと向き合えるように心を決めても雨粒がその気持ちを滲ませた。


長野にはボクが知る限り、知り合いはいない
今日会いに行った声の届かない人しかいない
ボクはその人に会いにいった。

明日はその人の誕生日だった。
『3秒前の過去がない人に誕生日を祝うわけにはいかない』
とボクは10年近く経った今思えるようになった。



明日を迎える人には、誕生日におめでとうを贈り
立ち止まった人には、誕生日の前の日におめでとうを贈る。。