夕暮れがくれた安らぎ (21st/Mar./2010)

風がすべてを吹き飛ばすような日曜の様子をビルの上から眺めた。

二人で歩く駅までの長い道のりを密かに僕は楽しみにしている。
夕暮れはオンとオフが重なる、午後と夜の境、
すべての境目がパレットに上で混ざり合う色のように滲む時間には
この後話すであろう向き合う会話他愛のない会話で準備運動のような
なんともいえない感覚がとても好きだ。

今日あった出来事を話していたとき、彼女はふと思い出したように振り返り
「人参を買うのを忘れた!買ってくる!」
と言って夕日に向かって歩き出したから
「ちょっとまって!」
と呼び止めた。


立ち止まった彼女が僕とオレンジ色に輝く太陽の間に割って入ると
目に前に薄く暗い影が現れた。


体温のない影は頭をこちらに向け
まるで僕の耳元で囁こうとしているように見え
白い吐息が見えない言葉はきっといつもと違う
優しい音ばかりなんだろうなって勝手に思ってしまった。


その安らぎに僕は目を閉じ
瞬きをするのを止めた。。