世界を分けたガラス (27th/Jan./2010)

実際に選択したこと
食事の誘いを断わざるをえなかった

今シーズン一番の寒さだと朝のニュースで言っていたような日が暮れてゆき
太陽の恵みがゆっくりと衰え始める景色を僕は7階の休憩室でぼぉっと眺めていた。

ガラス一枚隔てた外の世界は灰色の雲に覆われ、風の声だけが聞こえてきそうで
温風が舞う世界では誰しもが暖かいコーヒーを手に取り
このあとの夕食どこに行こうかともりあがっていて
行くともう言ってある僕には何を食べたいかなんて特になく
そのやりとりが終わるのを待っていた。


僕は彼らの言葉より透明な壁の奥にある言葉に目を奪われ
外の声を聞こうとかすかに震えるガラスに掌をつけた。


・・・


世界を分けていたガラスから掌を伝い、外の世界が寒さとなって
僕の中に入り込んできた。
必死になって他の言葉を探した。


・・・


遠くの方で
「行く店決まったよぉ チゲ食べに行くぜ」
との声に僕は冷たくなった掌をポケットに入れ
デスクのあるドアの方へ歩き始めた。。