花のニオイは雨粒に溶けた (14th/June/2009)

実際に選択したこと
いつもの花屋がなくなった。
小田急の花屋で鮮やかな花束をラッピングしてもらいバスで彼の元へ向かった。

昨日の夜から雨粒が矢のように降り注ぎ、ちょっとした物音は雨粒のゆくえのように
いつの間にか消えてしまうような日曜日となっている
明日のことを考えるコトより、僕は12年前の6/14日のことを考えていた。
ふっと消えてしまった彼のこと
襟のあるシャツをまとい、傘立てから黒い傘を抜き取り
僕はドアを閉めた。

駅に向かう道には紫陽花が咲き、道行く人々は傘の花を咲かせ
ビルやアスファルトの無彩色は色深く、街路樹はその逆で微かにキラキラ輝いていた。

・・・
高田馬場の改札を抜け、昔からの仲間と久々に再会し
いつもの花屋でたくさんの花を買い
長い長い緩やかな坂道をあがり彼に会いにいく。


視線の奥にお寺の門が見えたとき
ふと自分の持つ黒い傘に焦点が合った
露先から流れ落ちる雨粒が
ダレカの瞳から流れ落ちた涙のように見えた。。