早く動く秒針 (21th/May/2009)

「実際に選択したこと」
長い夢の末に目が覚めて
二度寝をせず
できる限り早くバス停へと向かった。

鏡に映る自分の顔に驚いていた。
泣いてもいないのに眼は真っ赤で
いつもぷっくりしている涙袋がない。
涙を全部出し尽くした後みたい・・・


僕はどんな夢をみていたのだろうか?


朝の光のほかに部屋の空気を支配しているTVから流れる誰かの声が
鏡に映る自分とは違い日常を濃く反映させ
これから起こる慌ただしい一日を
唖然としている僕に伝えようとしていた。


我に返り、時計を見ると分針が異常に早く進んでいるように思え
僕は近くに落ちていた糊のきいていないYシャツに袖を通し
パンツをはき、タイを結び
ドアに駆け寄った。


ドアを開けた瞬間
キジバトの鳴き声がすっと部屋に入り始めた。


僕は誰もいない部屋に「さよならの音」を投げつけた。。